相談事例

良く質問される法律について簡単なQ&Aを紹介します。 ただし、回答は、当事務所の実務経験や私見を含むものですので、具体的な問題については、必ず当事務所その他専門家にご相談ください。     


相続 -相談一覧-

一般的な相続の事例について
1. 遺産の分け方はどのようにしますか? 詳しくはこちら
2. 亡くなった人(被相続人といいます)が多額の借金を残していった場合、どうしたらいいですか? 詳しくはこちら
3. 相続人の中に行方不明者がいる場合、遺産分割協議はどのようにしたらようでしょうか? 詳しくはこちら
4. 相続人の中に海外に居住する者がいる場合にはどのように遺産分割協議をするのですか? 詳しくはこちら
5. 相続人の中に認知症の者がいる場合はどのように遺産分割協議をしますか? 詳しくはこちら


離婚 -相談一覧-

1. 離婚するときは、どんなことを取り決める必要がありますか? 詳しくはこちら
2. 夫婦間で離婚の話合いができない場合は、どうしたらよいでしょうか? 詳しくはこちら
3. 別居中の生活費は、どうなりますか? 詳しくはこちら
4. 財産分与と慰藉料はどう違いますか? 詳しくはこちら
5. 婚姻中に親から相続した財産も財産分与の対象となりますか? 詳しくはこちら
6. 退職金は財産分与の対象となりますか? 詳しくはこちら
7. 養育費の額はどのように決めますか? 詳しくはこちら
8. 慰藉料はいくら位ですか? 詳しくはこちら
9. 不貞行為をしている夫から妻に対する離婚請求は認められますか?詳しくはこちら

宗教法人 -相談一覧-

1. 宗教法人とはなんですか?詳しくはこちら
2. 宗教法人名義の財産を売却するためにはどうしたらいいですか?詳しくはこちら
3. 住職、宮司といった役職と代表役員、責任役員といった役職にはどのような関係がありますか?詳しくはこちら
4. 住職、宮司といった役職や代表役員や責任役員といった役職の選任について何か法律はありますか? 詳しくはこちら
5. 宗教法人の規則を見たことがないのですが、どのようにしたら見ることができますか? 詳しくはこちら
6. 規則と認証書を紛失してしまいましたがどうすればよいでしょうか? 詳しくはこちら
7. 被包括関係の廃止はどのようにすればよいですか? 詳しくはこちら

成年後見 -相談一覧-

1. 成年後見とはどんな制度ですか?詳しくはこちら
2. 成年後見制度の種類にはどのようなものがありますか?詳しくはこちら

3. 法定後見は具体的にどんな場合に利用されていますか?詳しくはこちら

4. 法定後見制度を利用するのにはどうしたらいいですか ?詳しくはこちら

5. 法定後見制度を利用したいとき家庭裁判所には誰が申立をするのですか?詳しくはこちら

6. 誰が後見人になるのですか ?詳しくはこちら

7. 本人の信頼できる人に後見人になってもらうことは可能ですか?詳しくはこちら

8. 任意後見契約書を作成するにはどうしたらいいですか?詳しくはこちら

9. 任意後見契約の効力が発生するのはいつですか?詳しくはこちら

⒑ 任意後見監督人の選任はどうのようにするのですか?詳しくはこちら

⒒ 任意後見監督人はどんなことをするのですか?詳しくはこちら

⒓ 任意後見監督人はどのような人がなるのですか ?詳しくはこちら

相続

一般的な相続の事例について

1. 遺産の分け方はどのようにしますか?

遺言がない場合は、相続人全員で話し合って分け方を決めます。
話し合いがまとまれば、遺産分割協議書を作成し、各自それに従って相続します。
相続人間の話し合いでまとまらないときは、家庭裁判所への遺産分割の調停を申し立てます。
調停の結果、相続人間で合意ができれば調停調書が作成され、それに従って分けます。
調停で合意できなければ、家庭裁判所が審判をすることになります。


2. 亡くなった人(被相続人といいます)が多額の借金を残していった場合、どうしたらいいですか?

被相続人の死亡によって相続が開始すると、相続人は被相続人の財産のみならず、借金も相続します。
そうすると、被相続人が財産以上の借金を残して死亡した場合、相続人が相続を望まない場合もあります。
その場合、相続人は、自分のために相続の開始があったことを知ったときから、3ヶ月以内であれば相続を放棄することができます。
相続放棄は、家庭裁判所に放棄することを申述して行います。たまに、相続放棄の制度を借金だけ放棄できる制度と誤解される方がいますが、相続の放棄は、初めから相続人とならなかったこととなり、借金も財産も相続しないことになります。


3. 相続人の中に行方不明者がいる場合、遺産分割協議はどのようにしたらようでしょうか?

生きているはずだが、どこに住んでいるかわからず、連絡がつかないような者を、民法では、不在者と呼びます。不在者に対しては、家庭裁判所に不在者の財産管理人を選任してもらい、その財産管理人に遺産分割協議に参加してもらい、遺産分割協議を成立させることができます。


4. 相続人の中に海外に居住する者がいる場合にはどのように遺産分割協議をするのですか?

日本に住んでいる場合と同様にその人を交えて遺産分割協議をして協議が整えば遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書を作成するには相続登記や預金払戻し等のため実印を押印し印鑑証明書を添付する必要がありますが、海外に住んでいる場合印鑑証明書がとることができません。
そのような場合は、在外領事館で署名し拇印を押捺し、その旨の証明書をもらい、印鑑証明書に代えることが可能です。


5. 相続人の中に認知症の者がいる場合はどのように遺産分割協議をしますか?

認知症が重度で日時・自分がいる場所・親族の顔もわからなくなっているような場合には、家庭裁判所で成年後見人を選任してもらう必要があります。その上で、成年後見人に本人を代理して遺産分割協議をしてもらうことになります。
認知症が上記程重度でなくとも、自分の利害について十分な判断能力がない場合は、その程度に応じて、家庭裁判所に保佐人あるいは補助人を選任してもらい、遺産分割協議に関与してもらうのが相当です。 



離婚

1. 離婚するときは、どんなことを取り決める必要がありますか?

離婚するときに、もし未成年の子供がいれば、親権者を決めなければなりませんし、養育費についても取り決めるのが普通です。その外には一般的に慰藉料、財産分与、年金分割等について話し合います。


2. 夫婦間で離婚の話合ができない場合は、どうしたらよいでしょうか?

夫婦間でそもそも離婚すること自体合意できないとき、離婚は合意できても親権者、養育費、慰藉料、財産分与などの諸条件で合意できないときは、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。


3. 別居中の生活費は、どうなりますか?

夫婦は、その資産、収入、その他一切の事情を考慮して、結婚生活に必要な費用(これを「婚姻費用」とか短く「婚費(コンピ)」といいます)を互いに分担しなければなりません。
別居中であっても、結婚生活は継続していますので、収入の少ない配偶者は収入の多い配偶者に婚姻費用の分担を請求できます。
婚姻費用がいくら位になるかは婚姻費用算定表を参考にされれば標準的な額がわかります。婚姻費用算定表は、インターネット上や離婚に関する書物で入手できます。 


4. 財産分与と慰藉料はどう違いますか?

財産分与というのは、夫婦が婚姻中に協力して作った財産を離婚に際して分けることをいいます。
慰藉料とは、例えば暴力や不貞行為などの相手方有責行為によって、離婚に至った場合、被った精神的苦痛に対して求めうる金銭的賠償をいいます。 


5. 婚姻中に親から相続した財産も財産分与の対象となりますか?

なりません。
財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して作った財産が対象となります。夫婦の一方が親から相続した財産や結婚前に蓄えた預金などは、その一方の特有財産として財産分与の対象となりません。

 

6. 退職金は財産分与の対象となりますか?

退職金はすでに支給されていれば、財産分与の対象となります。
まだ離婚時には支給されていなくとも、退職間際であったり、仮に10年位先でも、大会社に勤務していたり公務員であるなど、将来支給を受けられる可能性が高い場合は財産分与の対象となるというのが、最近の判例の傾向となっています。但し、分与の対象となるのは婚姻期間に対応する部分です。また、いずれにせよ不確定な部分もありますので、減額など多少の修正が加えられる場合もあります。 


7. 養育費の額はどのように決めますか?

東京家庭裁判所のホームページに搭載されている「養育費の算定表」を参考にされればよいと思います。ちなみに名古屋家庭裁判所でもこの表が利用されています。子供の人数や年齢、親の年収(自営と会社員でもわかれます)等をあてはめると、相当な養育費がわかるようになっています。


8. 慰藉料はいくら位ですか?

この質問はよく受けますが、回答するのはとても困難です。慰藉料は相手方の有責行為によって離婚に至った精神的苦痛を金銭に換算するわけです。換算するにあたっては、有責行為の内容継続期間、被った精神的苦痛の程度、当事者の社会的地位、支払能力、子の有無など、様々な要素を考慮して決めます。これらの要素は千差万別なので一律「いくら」とは言い難いところですが、経験上100万~300万円の範囲で決まっている事例が多いと思います。


9. 不貞行為をしている夫から妻に対する離婚請求は認められますか?

本件のように自ら婚姻破綻の原因を作り出した者を有責配偶者といいます。有責配偶者からの離婚請求は簡単には認められません。有責配偶者からの離婚請求については、最高裁判所が昭和62年9月2日に出した判決が重視されています。右判決の要旨は、有責配偶者からなされた離婚請求であっても、①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当長期間に及び、②その間に未成熟子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできないと解するのが相当であるというものです。
この判決の考え方に依拠し、有責配偶者からの離婚請求は別居期間が相当長期におよび、その間に未成熟子がいないという事案でないとなかなか認められないというのが裁判の大勢です。

交通事故


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宗教法人

1. 宗教法人とはなんですか?

宗教団体が団体として礼拝の施設などを所有し、維持運用できるよう法律上の能力を与えられた状態を言います。具体的には、宗教法人となることで、境内地等について、宗教法人名義での登記が可能となったり、契約を宗教法人名義で締結できるようになったりします。 宗教法人となることは、上記のようにもっぱら宗教団体の財産の管理の方法及び管理のための組織に関わってくるものであって、宗教上の行為や組織について影響するものではありません。


2.宗教法人名義の財産を売却するためにはどうしたらいいですか?

管理及び処分や予算、決算及び会計その他財務に関する事項を記載しなければならないとされています(宗教法人法12条)。 したがって、宗教法人名義の財産を売却する際には、規則を調べ、記載された処分の方法に従う必要があります。 
該当の財産が不動産又は宝物である場合には、規則に別段の規定がない場合でも、責任役員の定数の過半数で処分の可否を決めることになりますし、包括宗教法人でない法人であれば一ヶ月前に信者その他の利害関係人に対し、公告を行う必要があります。


3. 住職、宮司といった役職と代表役員、責任役員といった役職にはどのような関係がありますか

住職や宮司といった役職は、宗教法人の地位ではなく、宗教的儀式の主催者等の宗教上の地位を表す言葉です。これに対し、代表役員や責任役員は、宗教団体の財産の管理のために宗教法人法において定められた地位で、特に宗教上の意味は持ちません(宗教法人法18条6項)。両者の地位は根本的に別のものです。 ただし、宗教法人の規則において、住職を代表役員とするといった選任方法を定めることは禁止されていませんので、住職や宮司となることが同時に代表役員となることであることは十分にありえます。


4. 住職、宮司といった役職や代表役員や責任役員といった役職の選任について何か法律はありますか?

住職や宮司といった宗教上の地位については、その選任等に関し法律は特になく、各宗教団体の自由に任されています。 また、代表役員や責任役員といった宗教法人の地位は、員数や任免の方法といった多くの事項を宗教法人が規則で定めてよいことになっています(宗教法人法 12条)


5. 宗教法人の規則を見たことがないのですが、どのようにしたら見ることができますか?

宗教法人は、その事務所に規則及び認証書を初めとする書類や帳簿を備えなければならないとされており(宗教法人法25条2項)、備えられた書類は信者等の利害関係人であって、書類の閲覧に正当な利益があり、かつ閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認められれば閲覧することができます。


6. 規則と認証書を紛失してしまいましたがどうすればよいでしょうか?

代表役員であれば、所轄管庁(原則として都道府県知事なので県庁)で規則及び認証書に関する証明を受けて、謄本の交付を受けることができます。なお、証明に必要な添付資料などは、各所轄官庁によって異なる可能性がありますので、事前にご確認ください。


7. 被包括関係の廃止はどのようにすればよいですか?

被包括宗教法人から被包括関係を解消する場合、以下のような手順を踏みます。

① 被包括関係を定める規則の廃止に必要な規則に定められた手続きを行います。
② 所轄庁に認証の申請を行う少なくとも2ヶ月前に当該規則の変更の案の要旨を公告します。
③ ②の公告と同時に包括する側の宗教団体に関係を廃止する旨の通知をします。
④ 所轄庁に対し規則の変更の認証の申請をし、認証を受けます。
⑥ 包括関係の解消を登記します。
なお、①に関し、仮に包括する側の宗教団体が一定の権限を持つとされている場合は、当該定めのその部分は無効となります。これは、信教の自由の見地から、被包括宗教法人が包括する側の宗教団体に拘束されないようにする趣旨です。


企業法務


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成年後見

1. 成年後見とはどんな制度ですか?

世の中には、病気や事故その他いろいろな事情により、判断能力がなくなってしまった人、衰えてしまった人がいます。そういう人は、適切に自分の財産を管理したり権利を行使したりすることができません。
成年後見制度は、このような人を保護し援助する制度です。


2. 成年後見制度の種類にはどのようなものがありますか?

大きく分けると法定後見制度と任意後見制度に分けることが出来ます。
法定後見制度は、判断能力の程度により、後見、保佐、補助の制度があります。
 後見は、判断能力がなくなってしまった人
 保佐は、判断能力が著しく不十分な人
 補助は、判断能力が不十分な人
に裁判所がそれぞれ後見人、保佐人、補助人を選任して本人を保護援助する制度です。
任意後見制度は、自分が判断能力を有している間に、自分が選んだ人と、あらかじめ、将来自分の判断能力が不十分となったときに、自分に代わって、財産管理等をしてもらう契約(これを任意後見契約といいます)をしておいて、実際に判断能力が不十分となったときに、その人(任意後見人といいます)に財産管理等をしてもらう制度です。


3. 法定後見は具体的にどんな場合に利用されていますか?

判断能力のなくなってしまった人の財産の管理にはいろいろな不安が付きまとい、実際に財産管理をめぐり争い・不正・犯罪が発生することもあります。具体的には下記のような場合に後見制度が利用され本人の保護が図られます
・重度知的障害の子について、親が死去して、年金その他財産を管理してくれる人がいなくなったとき
・交通事故で脳にダメージを負い判断能力を失った人が、加害者に損害賠償請求をしたいとき
・認知症になった親の預金を同居している子供の1人が勝手に引き出し使っている場合
・一人暮らしの認知症の人に、近所の者が親切を装って近づきお金を無心したり、高価品を買わせたりしている場合
・認知症の人が、不動産の売買をする必要があるときや遺産分割協議に参加しなければならないとき


4. 法定後見制度を利用するのにはどうしたらいいですか ?

本人の住んでいるところにある家庭裁判所に後見開始の申し立てを


5. 法定後見制度を利用したいとき家庭裁判所には誰が申立をするのですか?

本人 配偶者 4親等内の親族、検察官、市町村長などです。


6. 誰が後見人になるのですか ?

本人の身上監護や財産管理を適切に行える人を裁判所が選びます。   本人の親族が選ばれる場合もありますし、弁護士 司法書士 税理士などの専門家が選ばれる場合もあります。注意すべきは、申立人が希望する人物が必ず選ばれるわけではないということです。また専門家が後見人に選任された場合は報酬を支払う必要があります。報酬額は裁判所が決めます。


7. 本人の信頼できる人に後見人になってもらうことは可能ですか?

任意後見契約をしておけば可能です。
Q2で説明した通り、任意後見契約は、自分が判断能力を有している間に、自分が選んだ人と、あらかじめ、将来自分の判断能力が不十分となったときに、自分に代わって、財産管理等をしてもらう契約(これを任意後見契約といいます)ですので、この契約をしておけば実際に判断能力が不十分となったときに、その人(任意後見人といいます)に財産管理等をしてもらうことが可能です。


8. 任意後見契約書を作成するにはどうしたらいいですか?

任意後見契約は公正証書でしなければなりません。したがいまして、本人と任意後見人予定者が公証人役場に出向いて作成してもらうのが通常です。ただし、本人の健康状態などで出向くのが困難であれば、公証人に自宅や施設に出張して作成してもらうことも可能です。

9. 任意後見契約の効力が発生するのはいつですか?

任意後見契約は、将来判断能力が不十分になっときに誰に財産管理等をしてもらうかを決めておく契約ですので、契約したからといって直ちに効力が発生するわけではありません。
効力が発生するのは、①本人の判断能力が不十分になったという状態が発生し、②家庭裁判所がそれを認めて任意後見監督人を選任した時からです。


⒑ 任意後見監督人の選任はどうのようにするのですか?

本人 配偶者 4親等内の親族 任意後見人予定者のいずれかの申し立てにより、家庭裁判所が選任します。ただし、本人が申し立てるときや本人が判断能力をなくしている場合を除き、選任には本人の同意が必要です。


⒒ 任意後見監督人はどんなことをするのですか?

任意後見監督人は、その名称のとおり、任意後見人が職務を適切におかなっているか監督し、その職務執行状況を家庭裁判所に報告するのが主たる仕事です。
すなわち任意後見人は、任意後見監督人の監督のもとに職務を遂行することになります。


⒓ 任意後見監督人はどのような人がなるのですか ?

Q9で説明した通り、家庭裁判所が選任するのですが、後見人の職務内容や財産の額種類など考慮して、司法書士や弁護士などが選任されているようです。